3. だまされるな ! 占い師に――悪用される墓相――
(1) 「墓相」の墓
「墓相」とは、墓にも相があり、凶相の墓をもつと不幸になり、吉相の墓なら幸福になる。だから、吉相墓を建てよう…と説く、一種の占い。
「墓相家」といわれる占い師達が、墓相の本を出版したり、講演会や相談会を催して、あるいは口コミで、たくさんの客を集め、今では、広く一般にまで、お墓を建てるなら「墓相」でという思いを強くいだかせている。
しかし、墓相家の窓口をたたいても、それなりの財力がないと、ていよく追い帰されるのが常である。というのは、墓相による墓づくりは、高額の出費を余儀なくされるからだ。
なぜ、そうなるのか。
その一つの理由は、少なくとも石塔を三基以上建てられる、広い面積の墓地を必要とするため、墓地代が高くつくからだ。
もう一つの理由は、石塔の建立費用が世間相場よりはるかに高いからだ。
最大の理由は、墓相家とお抱え石材店の金権体質にある。墓相をエサに食いついた客から徹底的にシボリとる…これが彼らの常套手段であるからだ。
そもそも、墓相それ自体は悪ではない。それを悪用する人達に問題があるのだ。
墓の「吉凶」と人の「幸不幸」には、科学的に証明できる「因果関係」というものは、何もない。にもかかわらず、墓相を悪用する人達は、凶相墓なら、こんなに不幸になる…と、沢山の凶相例を並べては、お客さんの恐怖心をかきたてて、言葉巧みに、いわゆる吉相墓を法外な値段で売りつけるのだ。一口でいえば、脅しの商法。今はやりの言葉でいえば、霊感商法ともいえよう。
墓相家の実態を知らずに、門をたたいた人は、吉相墓を建てられて満足できたとしても、金銭的には、おおいに騙されたことになるのである。
★ 高名な某女性占い師も墓相を説く。その彼女が「二百万円の墓を八百万で売りつけた詐欺師」として訴えられたことがある。墓相が、いかに金儲けの手段として悪用されているか、その典型である。
(2) 吉相墓
吉相墓とはどんなものか。墓相家は、公開したがらないが、次の条件を満たせば、吉相墓になる。
@ お墓の方位は、東南か南か東。きたと西はダメ。
A 墓地は、少なくとも、墓石を横に三基以上建てるだけの面積を確保すること。 (間口九尺奥行六尺以上必要)
B 巻石 (外柵) の高さは、一尺以下とすること。
C墓地の中に木を植えてはいけない。
D 墓地の中にコンクリートを敷いてはいけない。
E 墓地は、水はけが良くなくてはいけない。
F お墓には、太陽光線がよく当たること。
G 霊標 を用いてはいけない。
H 一枚石の四石 (芝台) をもちいてはいけない。
I 墓石の配列は、ご先祖様をまつる供養塔を右、その左に夫婦墓を建立していく。
J 子が親の墓を建てるとき、未来地 (建立スペース) がない場合、五十回忌をすぎた夫婦をご先祖様として供養塔にまつりなおし、その墓石を撤去する。その跡地に隣の夫婦墓を移設し、その空地に、子は親の墓 (夫婦墓) を建てる。
このように、墓相墓の建て方の特色は、子 (跡取り) が必ず親 (父母) の墓を建てるので、先祖供養塔を軸にして夫婦墓がぐるぐると循環運動を起こすことにある。すなわち、墓地の面積は有限でも祀りは無限につづく。そうなれば、墓づくりをとおして家 (子孫) が未来永劫につづき発展することになる。これを称して吉相墓というのである。
■ 近代墓相学を開いたのは、多田通幽師
尊師 (1863〜1936) は、「福田海 (ふくでんかい)」という教団を主宰した宗教家。師は、宗教活動の一環として、信者にのみ墓相を説いた。金儲けではなかった。師の墓相には含蓄がある。以下は、師の語録の抜粋である。
@ 墓は、根である。
A 墓は、家を造り、人を造る。
B 墓の如くに家がなる。
C 墓は家を要求する。家には必ず墓が要る。
D 墓を霊魂とすれば、家は肉体である。
E 新しく家を建てたり、別荘を建てたりすると、新ボトケができることがある。家に対して墓ができたことになる。
F 分家には分家の墓が要る。
G 墓は相続のものである。墓を建て祭祀供養していくことによって相続の徳を得、相続者になることができる。
H 親の墓は、子が建てるべきである。
I 生きているうちに墓を造ると相続力が衰える。
J その墓をよく祀り、世話するものが相続者となる。他家の墓でも同じことがいえる。
K 他人の墓を供養すると、その家の因縁を背負い込むことになる。特に絶家墓はよくない。
L 自分の家の墓に他人が大勢参ってくれるのは嬉しいことのようであるが、これは家運衰微の因 (もと) となる。かかる場合は、必ず家族が同伴して参り、礼をいうようにしなければならない。
M 墓を建てる費用を他人に出してもらうと相続力が弱る。
N 墓に建立者の名をいれるときは、必ず一人名とするのがよい。さもないと相続力が弱る。
O 墓は、よく祀れば足りる。祀りが墓である。
P 墓は、祀るに厚きが吉相、薄きが凶相である。
Q 墓を建てたり、改修したりするには、家系図をつくりよく調べて行う。
R 古くなって戒名などが読めなくなっている墓は整理するようにする。
R 墓を改めたり整理した結果、不要になった拝み石 (サオ石) は祀る形で処理するがよい。 等々。
尊師の語録には、教えられるところが多い。「墓のまつり」をとおした家族のありようがよくわかる。当センターでは墓相でお墓をつくる人には多田通幽尊師の教えを伝授している。
◆ 脅しの商法として悪用される墓相
墓相家は、いろいろな凶相例を説くが、その一部を紹介してみよう。
@ 境界石のない石碑は、不動産があっても不安定。財産の問題で争いが起こる。
A 木の下の墓は病人が絶えず出る。高圧線・電線の下も変事が起こる。
B 墓地の中に小石を敷き詰めると、異性の問題が起こる。相続人または息子の身体が弱くなる。
C サオ石がセメントではりつけられていると、中風の人が出る。墓地内に他家の墓があれば、変死・急死が出る。不要の出費が起こり厄介人が出る。
D 玉垣は、家庭の秘密を隠した形、女に好かれる家になる。
E カケた石碑は、ケガ人、手術、身体障害を呼ぶ。急死・変死の人が多い。
F 他人の墓地を踏まないと自分の墓地へお参りできない墓では、商売の発展はない。利益の出る仕事も他にとられる。
G サオ石に穴があいた場合、できもの・カリエスが出る。 等々。
ウソと判っていても、ツイそうかなと思ってしまう。そこにつけこまれるのだ。
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